WINGS2月号本日発売です。「おじさんと野獣」の表紙が目印です。「おじさんと野獣」とてもおもしろいです。続きが気になる。
「帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく」連載中です。今回は「未来の政治家とその親族のろくでもない話」です。本当にろくでもない話になりました。
そこに書き損ねた、権力に執着する私の初選挙の話と、アマチュアボクシングの日本代表だった弟さんの地獄のハワイ合宿の話をして今年の日記を早じまい。
タイトルの「未来の政治家」とは私のことです。詳しくはWINGS2月号を読んでやってください。
私の初選挙は小学五年生のとき、副会長に立候補して幼なじみに無理矢理推薦させて無理矢理応援演説をさせて、選挙をエンジョイしました。
仲良しのけんじくんに会長になってもらう予定がとても賢いけんじくんは権力になど全く興味がなく、最終演説で全校生徒の前にて、
「僕は会長はたかしくんが適任だと思います。みなさんたかしくんに投票しましょう」
と衝撃の演説をして、結果、私はものすごく仲の悪かったたかしくんと一年間いがみあいながら生徒会を運営しました。
11歳にして組閣に失敗する。
口もきかずに板書で会話をして、お互いの意見に白墨で×をつけるという驚きの仲の悪さ。
大人になって私は、自分は選挙を楽しんだけれど、とても奥ゆかしい幼なじみはあんなこと全然したくなかっただろうと気づいてつい先日聞いてみました。
「本当に本当に嫌で嫌で、今の今まで記憶から消去していた」
幼なじみは地獄の釜の蓋が開いて、私にずっと恨み言を言っていました。
でも市政に打って出るときはよろしくねと懲りずにお願いしといたよ。
そんな私の親族は、恐ろしい体育会系一族。これはくどくしつこく何度も海馬に書いています。
弟はアマチュアボクシングの日本代表メンバーかなんかで、ハワイに全日本合宿だかなんかに行きました。学生の頃の話です。
私はハワイに行ったことが未だになく、
「いいなあハワイ。でも絶対に、ふざけてリメンバー・パールハーバーとか言わないのよ」
旅立つ弟に私は忠告しました。そういうことしそうだと思って、言っておいたんです。
「何それ」
絶望的なことに弟は、真珠湾攻撃を知りませんでした。
説明すると弟は、
「なんでそんな話を今俺にした! 言ってはならないという緊張感から突然叫んだらどうする!!」
そう私を呪いながら、しかし彼は浮かれてハワイに旅立って行きました。
学生がハワイで合宿かよ随分いい身分だなおいと、私は思っておりました。
しかし弟は、何一つ楽しい思い出など持たずにズタボロになって帰国。
「青い海、白い砂。まあ、走るよね。その白い砂浜をひたすら走ったよね。きれいな海を見ながら吐くまで走ったよね」
それぐらいならまだ、良かった。
「まずスパーリングの相手は米兵」
弟は183センチあります。
スパーリングの相手は階級も同じ。
そんくらいの大きさの米兵だったそうです。
「そして試合をしたんだ」
弟のアザのある顔が既に、結果を物語っていました。
「あらくたい野郎どもの観客に荒れ狂うリング。俺の試合相手は、手錠を掛けられて鎖で繋がれて入場してきたよ……」
「どういうこと?」
「刑務所で服役中の囚人が……俺の試合相手だった。全身タトゥーの黒人の筋肉モリモリの、手錠をかけられた男それが俺の試合相手……」
「罪状はなんだったの?」
「知るかそんなこと。俺はあいつを見た瞬間にもう海を泳いで日本に帰りたかった……」
「勝ちましたか」
「殺されるかと思うくらい殴られて負けました」
よく生きて帰ってきましたね。
ごめんねハワイ合宿とか浮かれやがってとか思って。
マカダミアナッツをどうもありがとう。
今年友達が、
「ねえ紅白観に行きたくない?」
と言い出しました。
「私昔一度観たいと思って母と弟に言ったら、ばかじゃないの紅白はこたつで観るもんだ大晦日の渋谷から帰ってくるのなんか真っ平ごめんだと罵られたの。観たい」
そう私も身を乗り出して答えて、友達が応募しました。
紅白の出演者が発表になって、
「当たるといいねえ」
なんて楽しみにしていたら、応募総数は東京都の人口ほどの人数だったそうで、友人とはお互い家族と年越しをしましょうということになりました。
東京都の人口分の物好きがいることに驚きです。
私はこたつで日本酒を呑みながら家族と紅白を観て年を越します。
今年はなかなかに、良い一年でした。
今、来年春頃発行の原稿を書いています。
来年もまた読んでいただけたら嬉しい限りです。
今年も本当にありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
- 2015/12/28(月) 17:40:55|
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