菅野彰

菅野彰の日記です

「朝彦と夜彦1987」を終えて/制作のみなさん

「このチーム組めたの、奇跡だから」
 企画さんは、本当のことしか言わない人だったと思います。
 誰が何をしてくださっているのか、私が把握できたのは最後の最後です。
 私はど素人ですが、観客として芝居をたくさん観ています。
 音響さん照明さんがどれだけすごいのかは、観客として一目で理解しました。
 全てを総括している舞台監督さんには、ラスボスみたいな感じで最後の最後にお会いしました。
 パンフレットにみなさんお名前が載っているので、そのまま挙げさせていただきます。
 舞台監督さんは、川除学さんです。
「リーディングと言われてどう思われましたか?」
 そう尋ねられました。
 そのときにお答えしましたが、戯曲を読んだ方にはわかると思うのですが、私が書いた本にはセットから小道具から照明から小物から、何から何まで指定が書き込んであります。
「正直、お断りしようかと思いました」
 ここまで書き込んで十二年も経ったんだから、今更リーディングにするのはと、このお話をいただいたときには思いました。
 この辺は、企画さんの熱意とパワーに流された感があります。時間の行き来とか、セットなしでどうなるのかさっぱりわからないまま、説得されました。
 今は本当に、あのとき断らなくて本当に良かったと、思っています。観たら、リーディングでなければこの世界観は不可能だったと、はっきりと思えました。
「全て削ぎ落とした方が本が生きると思いました。せめて窓をという話も出ましたが、僕は椅子一つあればいいと思いました」
 なんというか、言葉が出なかったです。
 全く私の想像を超えたものに舞台はなっていて、言葉はそのままなのに、間違いなく想定していたセットや小道具が邪魔だったとわかりました。
 静まりかえった劇場の中で、役者さんたちの紙を捲る音、そのタイミングまで私には完璧だった。
 どれだけお礼を言ってもきりがないのにろくに言葉も出ないまま、舞台監督さんとはあまりお話しできませんでした。
 千秋楽終演後すぐに撤収作業を始められたとてもお忙しい川除さんを掴まえて、やはりろくに言葉もないまま、頭を下げました。
 すみませんお一人お一人どれだけ素晴らしかったか書きたいのですが、それは劇場で観てくださった方には一目瞭然だったと思うので野暮かと思い、この辺にします。
 音響の山本能久さん、音響操作の吉田可奈さん、照明の松本大介さん、照明操作の和田東史子さん、衣装さんメイクさん(パンフレットにお名前がない気がするので書きませんが、素敵なお二人でした)、みなさん素晴らしかったです。
 制作の藤井良一さんと制作進行の丸山立さんは、とても頼もしかったです。
 私を一番最初に安心させてくださったのは、カメラマンの宮坂浩見さんだったかもしれません。
 イメージ写真が上がってきたときに、そこで一度、安心というか、きっと大丈夫だと思えました。
 最後に聞いたのですが、宮坂さんは戯曲を読んで、朝彦の写真は夜彦が見ているように、夜彦の写真は朝彦が見ているように、撮ってくださったそうです。
 そのイメージは四人の役者さんともに私にはぴったりで、それはもう、そこで一度落ち着いた次第です。
 なんて素晴らしいプロの方々にお任せできたのだろうと、ただ、全てが驚きでした。
 みなさんには申し上げましたが、私の都合でご招待を掛けさせていただいた何人かが、
「この世界を構築したみなさんに対価を払いたいので、払わせてください」
 と、私にチケット代を預けて帰りました。
 そんな仕事をしてくださった、みなさんでした。
  1. 2015/11/06(金) 01:38:54|
  2. 朝彦と夜彦1987