十二年ぶり、「デコトラの夜」以来の山田睦月先生の描き下ろし漫画原作を担当させていただいています。
自分のカテゴライズに悩む等と、悩まない真人の物語。
この物語には二つの曰くがある。私にのみですが。
これは「デコトラの夜」が終わる頃に、次の山田先生の原作にやらせていただけないだろうかと十二年前にプロットを書いた話です。ふとプロットが出て来てタイミングも合い、今回実現に至りました。
でも十二年が経ったことは、よかったと今回書いていて思いました。
等のような悩みを取り巻く環境が十二年の間に激変していて、現在の方が私は書きやすかった。
そんな風に変化して行くテーマを扱っているので、やがてこの話も「いつの時代の話だ」となるかもしれませんが、珍しく今を生きるのである。
そして書き始めて気づいたのですが、等と真人は、「朝彦と夜彦1987」の朝彦と夜彦の二卵性双生児のような二人です。
同じキャラクターではありません。
何故十二年前にこの二人を考えたのか、少し申し訳ない経緯ですが書きながら二人が産まれたわけを思い出しました。
当時、「朝彦と夜彦1987」が完全にお蔵に入って。
小説にしようかどうしようか、漫画の方がより生きるのではと、それで山田先生の力を借りようとしたんだと思います。等と真人は、原型は朝彦と夜彦だと書いてて気づいた。
読まれたら「どの辺が?」と思われるかもしれませんが、そこから生まれた違う人生を生きてる等と真人です。
「ちょっと台詞が戯曲的過ぎる」
とは担当さんにも指摘されて、大分漫画よりにしました。
漫画として山田先生が昇華してくださると信じて、私はただ楽しみです。
キャラクターを立てたあとの発想は当時はもう少し安易だったのですが、いざとなるとそうもいかずかなり山田先生の力を借りながらの船出です。
どうか最後まで見守ってやってください。
楽しんで!
- 2017/06/26(月) 19:32:49|
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また新刊なのか。
そう言わずに。これはちょっと特殊な本です。
「華客の鳥」は、1999年に「小説ディアプラス vol.2」に掲載された、「HARD LACK」シリーズの登場人物シンとハルを主人公にしたスピンオフです。当時の挿画は松崎司先生で、掲載は十八年前。そんな長い時間そのままにしていたのは私で、担当さん及び新書館さんがあきらめずにいてくださって7月にようやく本になります。
「華客の鳥」のその後の物語「鳥の行方」と、エドとタクヤも登場する「By the way」を書き下ろしたのは四年前でした。「鳥の行方」を書いたときは、よくもこんなに長いことこの続きを放置していたと自分に呆れ果てました。書けて良かった。
一言言いたい。「華客の鳥」を書いたのは十八年前だ。古くさいんじゃなくて古いの。その古さを堪能してください。
後書きに書き忘れた気がするのですが、「華客」は本来の「かかく」と読ませる言葉とは違う意味で私の造語です。「かきゃく」と読ませます。
美しいシンとハルを今回描いてくださったのは、「レベッカ・ストリート」でも別次元のシンとハルを描いてくださった珂弐之ニカ先生です。
カバーの美しさ、口絵のハルの少年の健気さや脆さは、言葉が出ないです。
そしてその美しさを存分に生かしてくださった新書館デザイン部にも感謝しかない。
十八年が経って、美しい本になりました。
是非読んでやってください。
この本には、協力書店特典SSというものがついてきます。「デート」という短編を書きました。
どうしてもこの特典ペーパーを入手して欲しい。
何故かというと、シンとハルと、エドとタクヤで楽しくデートする話だからです。楽しいよ。
時々この特典SSでやってしまうのですが、
「ここまで本に入れたかった」
というやつです。今回はやってしまった。本に入れたかったけどペーパーなので手に入れてやってください。
アニメイト全店と、ネット書店通販もあります。
青文字がリンクになっております。よろしくね。
「華客の鳥」特典情報「華客の鳥」特典SSペーパー配布書店リスト 書店さんが把握していない場合もたまにあるようなので、ついて来ない場合は書店員さんにお尋ねください。
きれいな本にしていただいて、感謝です。
読んでいただけたら、なお嬉しいです。
- 2017/06/22(木) 19:49:46|
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