度々日記に書いて来ましたが、私は具合が悪くなると耳鼻咽喉科御殿に行きます。御殿には、
「よろず承ります」
と、貼り紙がしてあって、なんでも診てくれます。
私はこの間から、御殿で処方してもらいたい漢方がありました。むくみとりの漢方です。私とてもむくんでいる。
でも、御殿に行く時は大抵風邪なので、元気なときに来ようと思いはするのですが、元気になると人は病院のことなど忘れてしまうものです。そう考えると病院って悲しいね。
昨日、私はぼんやりひいていた風邪のせいで声が出にくくなったので、御殿に行きました。
「うん、でも、治りに入ってるね」
御殿先生は、菩薩のようです。いつでも患者の言葉をきちんと聞いて、過剰に薬を盛らない精神で診察します。
しかし、混み合う御殿に来たのに、このままでは声の薬も出してくれないかもしれないと思った私は、むくみのことを思い出しました。
「先生、風邪とは別にご相談があるんですが」
「なんだい?」
先生は本当にやさしい声で、こういう喋り方をします。
「むくみがひどくて、むくみとりの漢方を処方していただけないかと」
「うーん。今は風邪でむくんでるのか、そうじゃないかわからないから、元気なときにまた来てね」
案の定先生からは、当然の返答。
「そしたら、むくみの原因になる病気を一つ一つ調べてもし何もなければ、漢方を出すけど。どのくらいむくんでるのかな?」
そう言われて私は、右足のデニムを捲り上げて素足を見せました。
「ほら、こんなにむくんでるんですよ」
すねを押して見せた私を、先生はじっと見つめて、微笑みました。
「ズボン下、はかないの?」
「は?」
ズボン下。ももひきのことですね。
「うちの看護師さんは、はかないのかなあ、ズボン下」
誰にともなく先生が呟くと、一番近くにしたきれいな看護師さんが、
「はきますよ!」
えい! と、ナーススーツのパンツの裾を若干ストリッパー気味に捲り上げて、黒いももひきを私に見せてくれました。
「ね? みんなはいてるよ? ズボン下」
先生は私に、笑顔。
つまり、出口の近くに陣取る前に、まず自分でできる手元のことを一つ一つしてみなさい。冷えが原因かもしれないのに、漢方とか言い出す前に何故ズボン下をはかないんだと、先生は言いたい。
それを、看護師さんとの連係プレーで、私に諭したのでありました。
「とりあえず、ズボン下はきます……」
そんな訳で私は今、ネットでももひきを眺めていた。
御殿先生に薬を処方してもらうのは、本当にとても大変。
風邪の方は薬薬とさえずって、炎症止めと胃薬を気休め程度にもらって、所用時間三時間掛かる御殿から帰った私なのでした。
- 2014/12/16(火) 16:15:32|
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