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菅野彰

菅野彰の日記です

「文明」

 文明というか、未来というか。
「CURE」という、黒沢清監督の映画があります。1997年公開の映画です。15年前、私はこの映画で萩原聖人に激しくはまりました。とにかくかわいい。目茶苦茶かわいい。喋り方が子どもみたいで、でも風貌はひげ面の青年なんですが、甘ったるい声で、
「ねえ、おれ、あんたの話が聞きたい」
 と、人々をたぶらかします。
 先日、舞台「すうねるところ」で観た萩原聖人も、ものすごくかわいかった。マリオという人間の子ども(村井良大)をうっかり拾って来て育ててしまった吸血鬼のお父さんの役を、とても愛らしく(私にはそう見えた)演じていました。
「すうねるところ」で、萩原聖人心が復活して、どうしてもまた「CURE」が観たくて、レンタルを探しましたが見つかりませんでした。「すうねるところ」を観てやはり萩原聖人がかわいかったと言ってくれた友達にも、是非観て欲しかった。レンタルのお取り寄せも出来ず、買おうかと思い詰めていたら別の友人が、
「itunesだと200円でレンタルできるよ」
 と、教えてくれました。
 意味がわからない。
 わからないけどitunesを立ち上げて、Apple Storeに行ってみた。私初めてApple Store使いました。観たい映画をレンタルして、itunesにダウンロードしてパソコンで観られるんですね……知りませんでした。
 見せたい友達にも「CURE」をダウンロードして貰って、二人で、チャット的なことをしながら鑑賞しました。
「ここのね! ここの萩原聖人がすごいかわいいの!!」
「すごいかわいいね!」
 15年前の私は、この映画を繰り返しレンタルして、そのものすごく萩原聖人がかわいいシーンを(交番のシーンなのですが)、巻き戻しては再生して一人でたぎっていました。月夜野には見せた記憶があります。でもわりと孤独にこのシーンを何度も再生して、悶えていました。
 それが現在は、ネットでダウンロードしてその場で観られて、友達とチャットで感想を語り合える……。
「ものすごいな文明!」
 感動して、
「このまま『マークスの山』(映画版)を観て萩原聖人祭りをしよう!」
 と、恐怖のApple Storeへの依存が始まると思ったら、「マークスの山」がない。なんで? と、調べると、「マークスの山」はどうやらDVD自体になっていないことが判明。
 何故なのかはいろいろ想像するところですが、文明、すごいけどどうにもならないこともあるのね。
 他に何か萩原聖人の良きものはないかなと検索すると、萩原聖人は麻雀ばかりしていました。
 でも「CURE」の萩原聖人は本当にかわいいので、良かったらApple StoreへGO!
  1. 2012/09/26(水) 11:33:43|
  2. 日記

「私すごい」

 この間、私が一人で私ってすごいと思ったことを書きます……。
 月夜野んちに遊びに行った時のこと、月夜野が、
「さっきまで観てて、続き気になるから掛けていい?」
 と、アメリカのドラマ「ドクター・ハウス」のシーズン4を見始めました。とてもおもしろくて、私も引き込まれて観てしまったのですが、ここは月夜野が酷いという話で、月夜野が観ていたのは物語のもの凄い肝の部分でした。私はいきなり最終回を見せられたぐらいの気持ち。観ている方にはどこだかわかると思うのですが、いきなりあんな! 酷すぎる!
 このドラマは「シャーロック・ホームズ」の要素が含まれているそうで、主人公のハウスに、相棒役のウィルソンというかわいいオッサンが出て来ます。
「私この人……見たことあるなあ」
 私が呟くと月夜野は、
「色々出てるんじゃない?」
 と、言いましたが、
「違う。なんか遠い記憶。この人の若い頃を知ってる。なんだろう……『メンフィス・ベル』? 違うな。でも近いなあの頃の青春映画……そうだ『いまを生きる』の死せる詩人の会の子だ!!」
 その場で検索してみると、ウィルソン役のロバート・ショーン・レナードは現在43歳。23年前、20歳くらいの時に「いまを生きる」に大事な役で寄宿舎の学生の役で出演していました。それを、公開当時私は映画館で観ている。
「すごくない!? 私の記憶力」
 夜、友人達と飲んだので、主張してみました。しかしみんなの反応は今一つで、
「そういうの、無駄な記憶って言わない?」
 と、言われる始末。
 なんか不満。
 いや、ロバート・ショーン・レナードが、確かに中年にはなっているけど23年前とそんなに多分顔が変わってないのがすごいとも言うんですけどね……不満。
 私すごい。自分で言おう。

「いまを生きる」は、前にも書いたことがありますが、良い映画です。原題が直訳すると「死せる詩人の会」で、それではお客さんが入らなかったとは思うのですが、公開当時は、
「随分陳腐なタイトルにしちゃったなあ」
 と、思いました。
 でも後にCSかなんかでもう一度観たら、
「あ、そうだね、いまを生きる、だね」
 と、なんだか納得したのを覚えています。タイトル大事ですね。

 全然話は違いますが、やっと「侍戦隊シンケンジャー」を最終回まで見終わりました。
 天晴れ!!
  1. 2012/09/21(金) 19:35:08|
  2. 日記

「小説Dear+アキ」/「TSUNA」

「小説Dear+アキ」明日発売です。特集「ひと目惚れ」に、「海馬が耳から駆けてゆく」が出張しています。ひと目惚れについて熱く語りました。読んでね。

「TSUNA」というフリーペーパーに、創刊コメントを寄せさせて頂きました。古い友人のご縁で書かせて頂いたのですが、機会があったらまた呼んで頂きたいです。両国国技館、タワレコ新宿店等で配布中。両国国技館? そうですお相撲のフリーペーパー。楽しいよ!
  1. 2012/09/19(水) 14:29:00|
  2. 告知

「感情失禁」

 介護の専門用語だそうです。舞台「すうねるところ」のパンフレットで学びました。
 久しぶりに月夜野ん家の老犬ベス、十六歳と二人きりで散歩しました。50メートルもない道を、一時間くらい。
「十年前おまえん家の人が一家でオーストラリアに行った時、毎日散歩したねえ。二人きりで」
 犬と話しながら歩くよく居る困った人になって、夜道を歩きました。
「あの時最後の日に、おまえの好きなところまで行くよって言ったら、すごく遠くのお寺まで元気に走って行ったね。お花がきれいだったね」
 もう耳も遠いベスがよぼよぼゆっくり着いて来るのを見ていたら、なんだか涙が出て来て、歩きながら泣いてしまいました。
 こういうのです多分。
 感情失禁。
  1. 2012/09/16(日) 00:53:43|
  2. 日記

「自慢です」

hana2012.jpg

 お仕事、一つ、ちょっと頑張って終わりました。
 そしたら友達が、お花をくれました。
 すごく嬉しくて自慢です。
 
  1. 2012/09/10(月) 13:25:19|
  2. 日記

「ららはぴvol.13/WINGS10月号/mimi-cafe 2012」

 ただの日記じゃないんだよ、時々告知もするんだよ! ……と、今一生懸命告知を書いたら、クリック一つで一瞬で全部消えて泣きたい私です。でも頑張るもう一度書く。

「ららはぴvol.13」発売中。「旬はヒト時」という食べ物エッセイを連載中です。今回は「胡瓜と茄子」。食べ物のことを書くのは本当に楽しいです。

「WINGS10月号」発売中。「帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく」連載中です。日常エッセイ。今回は「大人の日常の話」というタイトルで、マライア・キャリーと同い年のわたくしが美容と健康について語っています(半分以下くらい本当ですよ)。

 そして、友人の加倉井ミサイルが久しぶりにミミカフェ開催です。
 【EXHIBITION mimi-cafe 2012 ミミとお菓子の森Ⅰ】
 ものすごく楽しそう。
 詳細はこちらです。http://www.kakuraimissile.com/mimizine
 大好きな町西荻窪でミミカフェ、本当に楽しみ。

 9月20日発売の「小説Dear+アキ」の、「ひと目惚れ特集」に海馬が出張します。ひと目惚れについて熱く語ります。ちょっと長く書かせて頂きました。

 小説の告知がなくてごめんなさい。頑張ります。
 諸々、よろしくお願い致します。
  1. 2012/09/06(木) 13:32:30|
  2. 告知

「私の変な美容師三回目くらい」

 先日、また私の変な美容師に散髪して貰って来ました。さすがに彼も、
「あれ? 僕のこと覚えてる?」
 とは、もう言いませんでした。覚えて頂いて光栄です思い切り客商売だが彼は。
 今回は時間がなかったのでカットだけで、髪を切って貰っている間、彼には雑談と営業という苦行が待ち受けていました。
 前に書きましたが、彼は特に必要のないものを売りつけて来ません。
 ところが今回席に着くなり彼は、何かCDが掛かったかのようにとうとうと喋り出しました。内容は、
「9月いっぱいまでヘッドスパを1500円という格安で体験できる」
 と、いうもので、
「ふんふん」
 と、聞いていると、
「興味ないよね? でも9月中また来たら、僕またこの話しないといけないから」
 あはは、と、彼は笑いました。向いてないね営業。どうやって支店長になった。
「前髪短くしていい?」
 彼が前髪を切りたがったので、
「いいよ」
 と、任せました。
 彼のもう一つの向いていないこと、雑談になり、何故か「サザエさん」の話になりました。
「色々、つじつまが合わないと思う」
 そう彼が言うので、
「私一巻を読んだことがあるけど、戦後直後の話だったよ。だから今とは噛み合わないんじゃない?」
「そうなの?」
「うん。私が読んだ話は、アイスキャンディー売りが来てカツオが欲しがったら、サザエさんが『赤痢になるから駄目よ』って話だったもん」
「へえ……僕が読んで印象に残ってるサザエさんはね」
 彼は語り始めました。
「サザエさんちで、鶏肉食べてんの」
「うん」
「みんな悲しそうなの」
「なんで?」
「飼ってたニワトリ、絞めて食べたんだろうねえ」
 それが彼の、我が心の「サザエさん」話。
 その後、ジェネレーションギャップの話になりました。
「お店の若い子達とカラオケ行くと、若い子達の歌ってる曲が全然わからない」
 ごく普通のことを、彼は言いました。
「でもすごく年上の人とも、話が合わない時があって」
 はっきりは知らないのですが、彼は三十代後半だと思います。
「どんな話?」
「健康とか病気の話は、まだついて行けるんだけど」
「そうだね、そんな話も出て来るよね」
「墓石の話には、ついていけないなあ」
 真顔で言われて、私は店に響き渡るくらい爆笑してしまった。
「御影石がいいとかさ」
 よく聞いたら「日本美容師協会」で、七十代ぐらいで現役の美容師さんと飲むことがあるのだそうです。
 私は髪を切って貰ったその日、友達の誕生会でした。
「私幹事だから」
「え、幹事? 向いてそうもないけど、幹事なんだ?」
 大概失礼な男です。
「幹事だから、飲み過ぎないようにしなきゃと思うんだけど、飲み始めると飲んじゃうんだよね。気をつけないと」
 相当飲むメンツによる誕生会だったので、私が独り言のように呟くと彼は、
「酒は飲みたいだけ飲んだらいいよ。浮き世の憂さを忘れるために」
 なんだからしくないことを、言いました。
「浮き世の憂さなんかあるの?」
 ええ、私も大概失礼です。
「僕、中間管理職だから。腑に落ちないことばっかりよ、上からはやいのやいの言われて、下からはつつかれて」
 全く、彼は中間管理職には確かに向いていない。
 そこから、お互い酔うとどうなるかという話になり、私はご陽気になると言いました。彼は、
「僕、ぼそぼそ喋るじゃない」
 と、言うので、
「そうだね」
 と、答えたら彼は、
「あのね○○さん(私)、こういうときはね、そう思ってても普通は、そんなことないよって言うもんなんだよ」
 なんだよ突然、おまえにだけはそんなこと言われたくないよ、さっき私が幹事だと言ったらなんと言った君は。
「まあでも、酔ってもぼそぼそ喋るらしいよ」
 なんじゃそら。
「お誕生日会、サプライズとかしないの?」
 彼は尋ねて来ました。
 私は丁度その事で朝から悩んでいたので、
「頭にティアラの一つも乗っけてやろうかと思うんだけど、いい年をしてそんなことしたら駄目かしら」
 相談するべきではない相手に、相談をしました。
「僕はね、誕生日にティアラを頭に乗せられたら、それを用意してくれた友達のその気持ちが、有り難いと思うと思うな」
「そう?」
「そこにLoftあるよ」
「ありがとう、買っていくわ」
 私はLoftで子ども用のティアラを買って、お誕生日様の頭の上に乗せた次第です。
 そんな彼ですが、この日、初めて私に、嘘と言うか、思っていないことを言いました。
「誕生日会、随分ちゃんとやるんだね。節目?」
「そう、節目」
「ふうん」
 しばらく、彼は考え込みました。女性に対して、年を若く見積もるのは礼儀ですよね。ましてや彼は美容師です。
「さ、さ、さ……さんじゅう?」
 言えてないし!
「四十だよ!」
「あはは、だと思ったー」
 そして彼は誕生日会ということで、私の髪をとてもかわいく巻き髪にしてくれました。それが気に入ったので、
「今度パーマ掛けたいな」
 そう言ったら、
「○○さんには再現不可能だから、スパイラルパーマ掛ける?」
 私には始末できないからゆるふわパーマは、掛けてくれないとのこと。
 帰り際、
「女十人の誕生日会なの? すごいね。ちょっと待ってて」
 自分の名刺に手書きで彼は十枚、「10%オフ」と書いて、
「配って来て」
 と、くれました。
 お、出来たじゃないの営業。
 でもこの走り書きの「10%オフ」、本当に有効なのかい、Sくん。
 楽しいのでまた行こうと思います。
 ちなみに彼にほぼお任せで切った私の髪型は弟曰く、
「お姉ちゃん若くなった……てゆかそれ子どもの髪型じゃない!?」
 とのことでした。
  1. 2012/09/05(水) 19:21:15|
  2. 私の変な美容師