菅野彰

菅野彰の日記です

「はじめの一歩」(2004年02月04日に某誌に書いたエッセイ)

 外付けハードディスクを開いていたら、長らく開けていなかった「エッセイ」というフォルダがあり、もうない雑誌やもうないフリーペーパーに書いたエッセイというか短文が出て来ました。
 版元さえなかったりするので、公開してもいいだろうと自己判断で一日一つくらい公開してみます。そんなにたくさんはないです。
 これは2003年の漫画ランキングに寄せさせていただいた文章です。
 自分でも気に入っていたので、時々思い出していました。月夜野亮宅の近くで、一人暮らしをしていた頃に書いたものです。ちなみに現在は月夜野の下の甥っ子が、全巻揃えているそうです。
 「はじめの一歩」を知る方も知らない方も、良かったらどうぞ。


「はじめの一歩」
 大メジャー作品を1位に持って来てベタな自分がちょっと恥ずかしいですが、2003年は「はじめの一歩」は素晴らしいと改めて痛感した年でした。
 極めて個人的なことですが一人暮らしを始めて、弟所有の「はじめの一歩」とさよなら致しました。年に一回くらい、これはふと手にとって夜通し痛読したい。しかし手元にない。全部で60巻以上ある。もちろん正規の価格で全巻揃える価値のある漫画だ。しかし弟所有の60巻の三分の一くらいは私も出資している。
 と思い悩み、手近な友人、作家の月夜野亮に全巻購入を勧めることにした。
「何処を読んでもたるまずおもしろい。あまさず息を飲む展開でありながら決して読者の期待を裏切らない。登場人物一人一人にしっかりとした背景が書き込まれている。これを今から全く白紙の状態で1巻から新しく読めるあなたが羨ましい!」
 ……毎日言った。しかし言葉だけでは、人は中々こういった長編に手を出さない。痺れを切らした私は5巻までを購入して、中華を食ってる最中に月夜野に、「はいプレゼント」と進呈した。
 以後、彼女が取り憑かれたように全巻を揃え、一時は日々のこともおろそかになり、私を恨んだりしたことは記すべくもない。
 ただ月夜野は! 頭から読むということにこだわらない恐るべき人物で、私はだいたい揃ったところで上前を掠める禿鷹のように「はじめの一歩」をかっさらったのだが、最初の千堂戦が、始まったと思ったら一巻抜けていて次の巻では清々しく終わっている。ヴォルグ戦が抜け、あまつさえ鷹村戦がない! 「わざとなのか!?」と問いたくなるような見事な抜け具合だったのだが、彼女は「誰か気になる人が間を埋めるであろう」と、肝心な箇所が抜けたまま中学生の甥っ子にそれを貸した。少ない小遣いから彼がそこを買い揃えたのは言うまでもない。
 まだ読んだことのないあなたが、1巻からまっさらな気持ちでこの物語を67巻も楽しめるなんて、本当に私は羨ましい。
  1. 2015/11/20(金) 02:12:27|
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