菅野彰

菅野彰の日記です

「おまえが望む世界の終わりは」(ディアプラス文庫)5/10発売(協力書店特典SSあり)

 まずは、特典協力書店さんのお知らせです。
 とても美しい草間さかえ先生のポストカードや、私の特典ショートストーリーがついて参ります。ショートストーリーは、かわいい話を書きました。読んでいただけたら嬉しいです。
「おまえが望む世界の終わりは」特典情報

 映画の特殊効果スタッフ孔太(25)✕俳優兼映画監督佳人(31)の物語。
 孔太は男とつきあうとかマジ考えたこともないノンケ。佳人はノンケで年下の男なんか真っ平ゴメンのゲイです。どうやってつきあうんだ。

 なんていうか、とても大切に書きました。
 須磨子がツイートしてくれてたけど、「ザ! 私!」みたいなタイトルです。
 でも中身は、今までとはもしかしたら少し違うかもしれない。
 書きたいことを書いて、いつも「楽しく書きました」と嘘のない気持ちを言っていますが、これは「大切に書きました」という感じです。
 書き終わってしばらくぼんやりしました。書きたいな、書かなきゃ、と強く思うことの中の一つを書いた。
 これは本当の気持ちなので、どうかまっすぐ聞いていただけたらと願うことなのですが。
 私は、という話です。他の作家さんは関係ないよ。私の話。
 私は、どのジャンルも気持ちは同じ気持ちで書いてます。BLも、ライトノベルも、時代小説も、一般小説も、漫画原作も、戯曲も、全部同じ気持ちです。
 もちろんそれぞれにルールはあるので、そのルールは守るけど。
 BLも、ファンタジーだとは私は思ってないです。異性の物語だけど、人間の話だし。その定義でいうのなら、私には全てのフィクションはファンタジーになる。
 だから全部ファンタジーか、BLもファンタジーでないのか。それはどっちでも良くて、全部同じ気持ちで書いていますと、言いたいのはそこだけです。切り替えとか難しいし。ライトだったりちょっと踏み込んだりそれは色々だけど、どれも書くときの向き合い方は一緒です。
 という、もしかしたらわがままなのかも知れない部分が少し強くなってしまった本かもしれません。
 BLはとても好きなので、片思いじゃないといいなとずっと思ってます。まだ書いていきたい。
 時々、こんな話も書けたらいいなと思ってます。時々。
 読んでいただけたら幸いです。
 寄り添ってもらえたらもっと嬉しい。
 よろしくお願いします。
  1. 2017/05/01(月) 21:29:48|
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「夜を走り抜ける」作画・湖水きよ先生/enigmaにて連載中(書き下ろし漫画原作)

「夜を走り抜ける」「enigma」にて不定期連載中。20~21号に現在二回掲載されています。バックナンバーも読めます。
 作画・湖水きよ先生
 なかなかに根性が悪そうな美術商如月晴生(28)受けの、若手彫塑家与謝野虎一(25)攻めの、美術ものBL。
 美術の話を書くのが好きだ。

 久しぶりの漫画原作書き下ろしで、書いている途中で気づいたのですが、BLの漫画原作を書き下ろすのは初めてでした。
 私は漫画原作デビューで、漫画原作を書き下ろすのは大好きです。
 漫画がすごく好きだから。自分の書いた話がそのまま漫画になるなんて、こんな楽しいことあるかなという気持ちで楽しくやってます。
 依頼をいただいたとき、少し悩みました。漫画原作の肝は漫画家と原作者の親和性の高さだと思っているので、湖水先生とは友人ですが作品の親和性は高くないと思って。彼女が自分で切るネームは、とても私には切れないものです。割れた鏡で刺さるみたいな、すごいネームを切る。近いものを渡そうとしてもとても及ばないし、かといって私のフィールドと思うところに彼女を合わせさせるのも彼女の良さが生きないしと、かなり悩みました。
 でもこの物語が出て来て、湖水先生と私の持ち味が両方生きるかもしれないと、やらせていただきました。

 彫塑家の制作物や美術品など、小物を描くのが大変で申し訳ないとか色々考えたけれど杞憂でした。
 虎一の創る彫塑は私はイメージしか書いていないのですが、想像以上のものを描いてくださっています。
 何より、最初に悩んだ作風の親和性の低さみたいなものは、とてもよく作用したと私は嬉しく思っています。
 ここで晴生笑うんだ、でもその方がすごくいいとか。
 そんな素敵な意外さで私は引き込まれて読んでいます。
 これはどの漫画原作を書き下ろすときも必ずそうしているのですが、最終回までお渡ししておるのであとは楽しく読むだけです。
 同じ気持ちで、読んでいただけたら嬉しいです。
 是非!
  1. 2017/05/01(月) 21:05:45|
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「ろくでなしとひとでなしとその息子の二年後」「ろくでなしとひとでなしとその息子の九年後」/「Char@」に掲載

 2003年に発行された「野蛮人との恋愛3 ろくでなしとの恋愛」の後日談になる、「ろくでなしとひとでなしとその息子の二年後」と「ろくでなしとひとでなしとその息子の九年後」が「Char@ vol.27」と「Char@ vol.28」に掲載されます。電子配信オンリーです。本編がもう電子しかないから電子なの。チャレンジ電子! お願いよ。
 青文字部分は全てリンクが貼ってありますので、よかったら飛んでみてください。

 このシリーズを全く知らない方にまずご説明。
 大丈夫だ。二年後から読んでも大丈夫だ。文庫を読んでなくてもわかるように書いたつもりだ。
 大学病院勤務の外科医柴田守と、同じ大学の剣道部の後輩だった結川貴彦と、守の息子の歩(二年後は七歳)の三人暮らしの話です。ボリュームは文庫で数えると70ページ分です。
 まっすぐ言います。「ひとでなしとの恋愛」と「ろくでなしとの恋愛」は、自著の中で最も好きな本です。自著ですが時々読み返していました。
 2003年に書き下ろした「ろくでなしとの恋愛」の後書きで、「守にも貴彦にも色々乗り越えて欲しいけど今は私には無理です。十年後に続きをふと書けたらいいな」と書きました。
 でもそのときは書けるとは思っていなかった。
 去年十三年が経ってまた読み返していて、私自身も十三年経って割と普通に生きてるし、この人たちもとりあえず生きてはいるだろうと思いました。
 十三年前は無理だと思った守と貴彦と、そして歩のその後を書きたいと思って、これは自分の書きたい気持ちだけで編集部に掛け合って書かせていただきました。
 電子に慣れない方も、できれば読んでいただけたら大変ありがたいです。
 多分続けて次の「Char@」に、「ろくでなしとひとでなしとその息子の九年後」が掲載されるかと思います。こちらも同様のボリュームです。歩が十四歳になります。
 大切に書きました。

 シリーズについて少し説明させてください。全て電子しかありませんが、「二年後」「九年後」を読んで気になったらこちらも読んでやってくださいませ。

「野蛮人との恋愛」
 これがシリーズの一冊目ですが、後の2冊と全く違うテイストです。
 剣道部の大学一年生の柴田仁(攻)と仙川陸(受)の物語で、守と貴彦も二人の先輩として登場します。守は仁の兄です。
 よく言われることで「エッセイと小説なんでそんなに違うのですか」という問いかけがあるのですが、この本は最も私のエッセイに近い小説だと思います。私が今まで書いた中で一番のラブコメです。コメディです。楽しいと思うよ。

「野蛮人との恋愛2 ひとでなしとの恋愛」
 こちらから柴田守が主人公の、結川貴彦との物語になります。
 ラブコメ要素はないです。でも私はこの本がとても好きです。
 特にラブコメにご興味がなければ、ここから読んでも大丈夫です。

「野蛮人との恋愛3 ろくでなしとの恋愛」
 ひとでなしとの恋愛の続きになります。後半で守の息子である歩が登場します。
 時々読み返していて、去年その後の彼らが書きたいと思えたことは、様々な仕事の中でも私には特別な思いでした。

 さすがにもう守と貴彦を書くことはないだろうと、エンドマークをつけたときは寂しかったです。
 読んでいただけたら、ただありがたいです。
 よろしくお願いします。
  1. 2017/04/25(火) 12:20:45|
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「六年目の気持ち」

 東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
 3月11日です。

 自分の話で申し訳ないのですが、今の私の話です。
 六年目の私は、五年目の私より気持ちがとても落ちている。震災の件に関してです。
 最近よく「元気そうですね」と言われることがあって、言われるたびに「あ、空元気なんじゃないかな」と自分で気づく。震災の件に関して落ちてるけど、それは生活全般に及んでいるとも感じています。空元気は良くないな。

 でも、「震災のこと」が終わることは多分ないだろうし、落ちつくまでにも長い時間が掛かると思うので、そのときまでの時間の中で、こういう落ちていくときというのもきっとあるんだろうと思うようにしています。
 落ちて、またゆっくり前向きになって、やってけるのかなと。

 昨日、岩手県釜石市の友人とメールをしました。彼女は被災者の方々と多く接する仕事をしていて、
「明日を前にみんな気持ちが戻ってしまっている」
 と言ってた。

 私なんか被災らしい被災もしてないのに本当に申し訳ないなと思うんだけど(本当はこれはよくない感情だと最近痛感しています。人にはこう思うのをやめてと思いながら、でも当事者は思ってしまう)、私も昨日そういう気持ちで彼女に連絡しました。

 昨日、こちらは少し吹雪きました。
 あの日は晴れていて、もう春だと思っていたのに今日はまだまだ冬で。
 こんな気候じゃなくて本当に良かった。こんなに寒かったら、留められなかった命ももっと大きかっただろうと吹雪を見ながらぼんやり考えていて、なんだろうこの良かった探し、意味なんか全然ないなと気づいてまたぼんやりしました。

 気持ちがこういう風に落ちたことには、はっきりした理由があります。
 去年の夏に、岩手県釜石市に行って、昨日メールした友人に会いました。
 行って本当によかったとそれは今でも心から思っています。また行こうと思う。
 以前から友人とはメールのやり取りをしていて、釜石市の現状を聞かせてもらったりもしましたが、お魚が美味しいこと、雲丹が絶品で日本酒も美味しいとそんな話もしていました。
「雲丹食べに行く」
 雲丹を食べに行こうと思って、釜石市を訪ねました。
 直前になって、
「もし思い出すから辛くて無理なのでなかったら、町を案内して欲しい」
 そうお願いしました。
 彼女は快諾のメールをくれて、けれど末尾には「ごめんなさい。海には行けないので、近くまで送りますから見て来てください」と書いてありました。
 釜石市を訪ねて、彼女に会って、彼女はとても淡々とした言葉であの日のこと、現在を教えてくれました。
 正直、想像以上だったし、何もかもがまだまだだった。
 雲丹は本当に美味しかったよ。
 見て来たことを書こうと思いながら帰って、2週間後に、
「震災のことを踏まえて作られているから」
 と強く薦められたある作品を見ました。
 冒頭の方だけで私は無理だった。ぼんやりと見ていました。今思えば「無理だ」と思ったときに立ち上がれば良かったと後悔していますが、「もうこんなものが娯楽になるのか。誰もがこれを楽しんでいるのか」と力が入らなくなってぼんやりしてしまった。
 途中は直視できていなかったし、最後の言葉は聞こえて来たけれど、その言葉にも強い怒りが湧きました。
 けれどそれはもしかしたら、日本で私だけの感情なのかもというくらい同じ気持ちの人には出会わないので、本当に私だけがこの作品が無理だったのかもしれません。
 みんなが楽しんでいることに水を差したくないというのもあるけれど、私の気持ちを打ち明けたら「自粛厨」とかいう言葉で袋だたきに遭うのだろうなと想像がついた。袋だたきに遭う気力はなかった。
 間が悪いことに、その数日後に熊本で震度6の地震に遭いました。
 夜、ビルの5階にいて、体感でもかなり揺れました。
 このとき私は、震災以来初めて地震に恐怖を感じました。
 料理屋で、お店の方が「火を止めたのでしばらくお料理を待っていただいていいですか」と声を掛けてくださいました。一緒に食事をしていた方も冷静でした。
 私も昨日までこうしていたと気づいた。
 こんな恐怖をいちいち感じていたら、今熊本には暮らせない。
 生きていくために、みんな恐怖を閉じてる。
 私は五年が過ぎて、閉じていた恐怖がこのときに噴き出してしまった。
 今はちょっとした地震でも悲鳴が出てしまうし動悸がします。

 感情が爆発してしまって、私は「震災を踏まえている」と作品を薦めた友人にも、その作品を楽しんでいる何人かの友人にも、「こういう理由で私は無理だ」と打ち明けました。相手にされることはなかったです。
 誰とも共感できない気持ちを持つという孤立に、私は今までちゃんと苦しんだことがないのだとも知りました。
 大抵のことは、もし自分だけがそう感じていると思っても、私は多分「人は人、我は我」が少し得意な方だと思うので鈍感でいられた。
 この孤立は苦しく、今もそれは続いています。身近な人とも共感できないだけでなく、大多数の未知の人々とも共感できない。どうにもならない苦痛で、そのことは時々考えてしまうし、これは終わらないのかなと思うとあてのない気持ちになる。
 こういう感情を経験できてよかったというところまでは、まだ少しも辿り着けません。
 いつか同じような気持ちになっている人に出会ったときに、「わかるよ」くらい言えるようになっているといいなと願いはするけれど。

 理由もなくポジティブになれないので、気持ちは落ちていくばかりでしたが、予定していたので去年の秋に福島で呑み会をしました。これは本当に、集まっていただけてありがたかったです。
「被災地を訪ねるきっかけになりました」
 と言っていただけて、やれて良かったと思えたし、私も一番参っていたときだったので、「何かしたい」という気持ちのたくさんの方に会えたこと話せたことで大分救われました。

 でも相当やられてるな私、という自覚はあって、こういうときに無理すると良くないと思ってできずにいたことが釜石市のことを書くということでした。
 そこから私はまた歩き直しだよと思ったけど、その一歩ができずに今日になった。
 このネガティブな気持ちで書いたら、釜石市に迷惑だとも思いました。自分の怒りや苦痛に、見てきたことを巻き込んで発信してはいけないと思いながら、そこから切り離すことがとても難しかった。
 3月11日が巡ってきて、今日だからと釜石市のことを自分の感情とは分けて書き始めました。
 気持ちが戻ってしまう日だけれど、だから何ヶ月もできなかったこともしようと踏ん切れるとも思った。

 今年も、この日はこのサンドイッチ。
 よかったら去年の日記を読んでやってください。
 「いつものサンドイッチがいつもじゃなかった日々を忘れないよ/3月11日」
 この間このパン屋さんのご主人が、サンドイッチ以外のものからできるだけ卵を除いていると話してくれました。ご主人は本当は、卵が生地にも入っているパンが好きだったそうです。
「最近の子は、アレルギーが多くて。見えないけど卵が入ってたら食べられないしうっかり食べたら大変なことになっちゃうし、かわいそうだからね」
 いつまでもこのパン屋さんにいて欲しいなと思った。

 ゆっくりですが、遠い終わりのようなものに向かってまた歩いて行きたいです。

20170311.jpg
  1. 2017/03/11(土) 14:21:15|
  2. 日記

「泣かない美人」(ディアプラス文庫)1/10発売(協力書店特典SSあり)

 2017年の1冊目は、「泣かない美人」(ディアプラス文庫)1/10発売です。
 以前雑誌に書いた、百貨店の外商部を左遷された甲斐隼人と、引きこもりの杜氏吉野要の物語「泣かない美人」に、どちらかというとこちらが本題という「君が笑うときに」を書き下ろしました。
 私には初めてのご当地BLです。お気に召したら遊びにいらしてください。
 この本には、協力書店特典SSというものがついてきます。「忘れないように」という短編を書きました。
 まだ協力書店一覧が出ていないのですが、私はどうしてもこの特典ペーパーを入手して欲しい。
 何故かというと、少し不安が残ったんです。本編を書き終えて。
 その不安を、ペーパーに託しました。読んでやってください。アニメイト全店と、ネット書店通販もあります。
 青文字がリンクになっております。よろしくね。
「泣かない美人」特典情報
「泣かない美人」特典SSペーパー配布書店リスト
 書店さんが把握していない場合もたまにあるようなので、ついて来ない場合は書店員さんにお尋ねください。

 後書きにも書いたのですが。
 私はBLが好きですが、「これはBLというジャンルじゃなければ書けなかった」と毎回思うわけではないです。
 この本に関しては、久しぶりに強く思いました。BLでなければ書きたくても書けなかったと思って、BL作家で良かったとそんな一冊になりました。
 あとあまり好きなものを題材にしてはいけない……と日本酒に関しては思った。
 美しい挿画をくださった金ひかる先生とは、ものすごく久しぶりのお仕事です。変わらぬ魅力的な絵を付けていただけて、二重に嬉しかったです。
 年明け、是非読んでやってください。
  1. 2016/12/27(火) 17:03:30|
  2. 告知
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